相当な酒乱らしく、暴れ回ってそれを止めようとしたら数か所殴られた。
初めて感情をむき出しにした彼女を見て、普段我慢ばかりしているのだとその日初めて気が付いた。
だから彼女が母親の借金を背負って俺と結婚したのにも合点がいった。 …いつも一人で何でも背負ってしまうのだな。
泣き腫らした目でベッドで眠る彼女の顔を見て、どこかいじらしく思ったのだ。
…言いたい事があるならば素直に口にしてくれればいいのに。
その日から欠かさずに二人で一日一回は食事を取るようになり、彼女の振舞う美味しい料理を食べて行くうちに食事は余り苦痛ではなくなっていった。
それどころか、一緒に過ごし互いを知って行くうちになんて居心地の良い女性なんだと思うようにまでなっていった。
結婚したのが、他の誰でもなく彼女で良かった。 彼女が願う事ならば何でも叶えてあげたい。
そう思ったから…だからこそ大切な彼女の親友が困っているなら助けたいと思った。 本当は新婚早々他人に邪魔されるのは不服ではあったが
まさかそれがこんな事態を招いてしまう事になるとは。
本当はあの時の子供のように泣きじゃくる彼女を見て、とっくに気持ちは動かされていたんだ。



