【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


自体が急変したのは、結婚から一ヵ月後の事だった。

ある日家に帰ると真凛に’お前と言うな’とブちぎれられた。  感情表現の余りない女だとばかり思っていたので突然の事に初めは面食らった。

その日は新しく開くお店の店舗がやっと決まりかけた日で、次の日は久しぶりに休みを取ろうと思っていた所だった。

だから彼女にお酒を勧め、ゆっくりと話そうと持ち掛けたのだ。 まさかあんな事になるとは思わなかったが

言葉が少なく、いつも笑っているようなタイプで顔にも表情が出にくく分かりずらい。
だからと言って何も考えていないというわけではないようで
酒に酔った彼女は、怒ったり悲しんだり表情をころころと変えて、俺へと初めて不平不満を漏らした。 それは今考えれば暴言に近かったと思うのだが…

「せっかく結婚をしたのに、こんなの全然夫婦らしくない。」
「結婚をしたから、そこにたとえ愛がなくても離婚とかは嫌だ。」
「温かい家庭を築きたいと思っている。 あなたは冷酷だ。」

などなど溜まりにたまっていた不満をぶつけられた。 初めはムカッとしたけれど、最終的に悪い気はしなかった。

初めて感情を見せてくれて嬉しかったのかもしれない。