「それでも誤解を与えるような行動を取るお前に原因があると思うけど。 つーか今からマンションに行くから、伊織は家で取り合えず待ってて」
「待っていられるか。家から出て行かれたんだぞ?
つーかお前はうちに来るな」
「俺が行かなかったら桃菜さんずっとそこに居るだろう。 そのまま桃菜さんがマンションにいるってのも真凛さんにとっては誤解を与える事になると思うけど」
「う………つーかそうならない為に俺は今からホテルでも取ろうと思っていた所だ。 うるさくて敵わない」
「…取り合えず家で待っててよ。直ぐに向かうから。 その時に真凛さんの今いる場所も話すからさ。
だからこうならないうちに桃菜さんを家から追い出すように強く言ってたんじゃないか」
「そうは言っても妻の親友を家から無理やり追い出す事も出来ないだろうが……」
電話は一方的に切られて、マンションで碧人が来るのを待つ羽目になった。
相変わらず扉の先ではどんどんと叩く音と俺の名を呼ぶ甘ったるい声が響いている。
頭が痛い。
ベッドに腰をおろし、真凛と出会ったばかりの頃を思い返していた。



