桃菜の声と、伊織さんの声が重なって聞こえる。 何を話しているかはよく聞こえなかったが、心臓がどくんと強く脈を打った
。
嫌な予感はいつも当たるもので
それは経験上身に染みている。 ゆっくりと桃菜の部屋の扉を開く。
「……!!」
そこには上半身裸になっている桃菜と、桃菜の腕を掴んでいる伊織さんの姿があった。
私に気が付くと伊織さんは肩をびくつかせ桃菜から離れようとしたが、桃菜はぎゅっと伊織さんの腕に抱き着いた。
桃菜の可愛らしい微笑みを称えた瞳とばちりと目が合う。 すると彼の胸に顔をひそめ、言ったのだ。
「伊織ん、駄目だよッ。真凛ちゃんと住んでいる家なのに。桃菜困るッ」
ぶるぶると身体が震えた。 まさか伊織さんが今までの男と同じような事をするなんて
信じていたわけじゃない。 男というものはそういう生き物だって分かっていた。
それでも信じたい気持ちが勝っていたから、自分の気持ちを正直に話そうと思った。



