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「ちょっと…大丈夫なの?」
「ウーン、ウーン…。頭が痛いよぉ。それに体も熱い…死んじゃいそうだよ」
翌日の事だ。 桃菜は高熱を出した。 それが仮病ではない事は私がよく知っている。
見た目の儚さ通り桃菜は体が弱い。 大学時代もよく熱を出しては看病にいっていた。
それが桃菜を放って置けない一因の一つでもあるのかもしれないけれど。
風邪をひいたのだろう。 熱っぽく涙目になっていて、チークも塗っていないのに頬は桃色に染まる。
虚ろな表情で私の手をぎゅっと握りしめた桃菜は、私に向かいにこりと笑う。
「真凛ちゃんの手、冷たくて気持ちいい。すごく落ち着く。」
憎めないのは正にこういう所なのだ。 桃菜は同性に好かれずらい性格をしているけれど、私にだけはとても懐いていつも甘えて来る。
屈託なく笑いかける桃菜を見ると、全てを許そうと思えてくるから不思議だ。
「私は仕事に行くけど、病院に行かなくて大丈夫?」
「大丈夫だよぉ。慣れてるし、熱はすぐに下がるの真凛ちゃんも知っているでしょう?」
「でも体が辛くなったらすぐに連絡しなさいよ?」



