そう言って浴室に向かう桃菜の後姿を見て気分が悪い。
気が付けば、ダイニングテーブルに残された私と伊織さん。 伊織さんはジトーっとした目で私の顔をジッと見つめた。
「ボヤージュにも悪質な社員がいるものだな」
?!?!
やっぱり桃菜の言葉を鵜呑みにしている。
悲しそうな顔をするのが上手だから嘘をついているなんて思いもしないのだろう。
それに伊織さんは案外純粋なので、言われた言葉をそのまま鵜呑みにする。
「真凛も大丈夫か?意地悪をされたら俺にすぐに言え。 上層部に言ってすぐに首にしてやる」
「本当に、ボヤージュのパートさんはいい人達ばかりなんですよッ…」
「けれど彼女はああ言っているじゃないか。」
「それはその……桃菜は少し大げさに捉えちゃう事があるから…」
「あんなに悩んでいるのに、可哀想だ」
「だからそれは……!!ハァー…もういいです。伊織さんにグチグチ言ったって仕方がないから」



