「そんなに酷いようならば碧人に言っておいてやろうか?」
だからどうして伊織さんも桃菜に甘々なのよ。これだから男はすぐに桃菜の涙に騙されるんだから。
しかし小早川さんの名前を出されると、焦った様に桃菜は顔を上げて首を横にぶんぶんと振った。
「それは…大丈夫。
せっかく伊織んの会社で働けてるんだものね。
伊織んに感謝して、桃菜も真凛ちゃんを見習って頑張らなくっちゃ。
でもぉ~…真凛ちゃんも少しは助けて欲しいな…。桃菜が苛められていてもパートさんと楽しそうに話してばかりいるから」
はぁ?!と声を荒げたいのを押さえた。 伊織さんが目の前にいたからだ。
これでも桃菜の事はフォローしているつもりだった。
けれどここで声を荒げたら私が悪者だ。 ひくりと口元を歪ませて無理やり笑顔を作った。
「桃菜ごめんね。出来るだけフォローするから…」
「いいんだよ。真凛ちゃんが悪い訳じゃないから、桃菜が仕事出来ないのが悪いんだよね。
これから頑張るッ! じゃあ、桃菜今からお風呂に入って来るから~~~
ごちそうさまでしたあ~」



