【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


はぁーと大きなため息を吐いた母がテーブルに頬杖をついて泣きそうな顔をする。 というか、既に泣き腫らした目をしていた。

泣きたいのはこっちの方だ。 そう言いたいのは山々だったが、私が怒ったり泣いたりした所で解決する話でもないのだ。

「…今日、おばあちゃんのホームに行ってきたのよ」

「何しに行ってきたのよ。おばあちゃんに相談したって今のおばあちゃんじゃあ何も分かってくれないよ。
それに散々苦労かけてきたんだから、これ以上おばあちゃんを不安にさせるのは止めて!」

強めの口調で言うと、母の瞳にはうるっと大粒の涙が浮かび上がる。
一体どっちが娘で母親よ?!

「真凛ちゃんはおばあちゃんばっかり優しくするんだからッ」

何を子供染みた事を…。
それに当然の話ではないか。

私が物心つく頃から自由奔放に家を空ける母の代わりに私の面倒を見てくれたのは祖母達だ。
母が嫌いなわけではないが、いざとなれば味方をするのは絶対に祖母の方だ。