納得のいかない表情をしている伊織さんを店内から連れ出すと、彼は私の腕を引いて次は宝石店へやって来た。
レディースの品物ばかりの店で、そこでまた彼は「彼女に似合うものを」と店員に訊ねる。
…自分の買い物をしたかったわけじゃないの?!
ダイヤやらルビーのネックレスや指輪を店員さんは取り出してくるが、値段を見てまた心臓が止まりそうになった。
「うーん、ダイヤとかルビーって感じじゃないんだよなあ。 青い宝石の方が似合うよ。君は」
「ちょ……ちょっと伊織さん!私宝石も必要じゃありません…!
こんな高級品つけていく場所もありませんし」
「これから何かと必要になるかもしれないし。そうだな、石はデカい方がいい。」
「本当にいりませんってばー!!! それに、私伊織さんには結婚指輪も買って貰っているしッ…」
私の言葉に伊織さんは眉をひそめた。
「あの結婚式以来一度もつけていない結婚指輪か?」



