【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


「べ、別に大した事じゃあありません。私個人の問題なので」

「最近君の様子がおかしい事くらい、いくら鈍感な俺だって気が付いている。
ボーっとしていたり元気がなかったり…職場で嫌な事でもあったのか?君の友人の言う通り嫌な奴でもいるなら首にでもしようか?」

「だからー!そういう職権乱用みたいな事は止めて下さい…。
それに私が働いているボヤージュの従業員は良い人たちばかりですよ。
接客業なんて初めてだから不安だったけれど、毎日楽しく仕事しているんですから」

見ていない様で案外きちんと見ていてくれている。 それを想えば心がほっこりと優しい気持ちになる。

ここ最近はずっとモヤモヤしたりやきもきばかりしていたので、こんなに暖かい気持ちになるのは久しぶりなような気がする。

…やっぱり余裕がなさすぎるな。  余裕がなくなれば人は人に優しく出来なくなったりするものだ。


「それより今日はこれから一体どこへ?」

「まあ、それは着けばわかる」

どうして教えてくれないのよ~!気になるじゃない~…。