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「お家って、伊織さんの実家に行くのですか?」
この間祖母のホームまで連れて行って貰った伊織さんに愛車に乗り、ハンドルを握る彼へ質問するとあからさまに彼は嫌な顔をした。
「まさか、どうして俺の実家に行かなくちゃいけないんだ?」
「だってお家の用事って言っていたから。
それに考えて見たら私きちんと伊織さんのご両親にご挨拶もしていませんし、結婚式で軽く挨拶をした程度です。
だからそういうのって良くないかなあって。最近色々あるけどその事でも頭を悩ませていて」
「別に問題ナシ。
両親ともども次男である俺の行く末には余り興味がないようだ。
それにボヤージュは家族経営だから親類関係でいざこざが結構あるんだ。 俺はそういうのに巻き込まれたくない。」
「へぇーお金持ちもお金持ちで色々とあるんですねぇ……」
「それより君が頭を悩ませている他の所が気になる所なんだが」
赤信号で車が止まったかと思えば、ジッとこちらを見入るように眼差しを送られる。
ついつい目を逸らしてしまう。 伊織さんの綺麗なブラウンの瞳には全て見透かされてしまうような気がしたからだ。



