優しい瞳を向けられ、そんな言葉を投げかけられるとドキリとしてしまう。
かっこいくって優しいって完璧かよ。 その上桃菜まで手なづけてしまう程面倒見が良いなんて、なんて完璧な人だろう。
「伊織の奥さんだから、僕にとっても特別な人です。
じゃあ、俺行きます」
あ、そーいう事ね。
きっと小早川さんにとって伊織さんは特別な人なのだろう。
高校時代からの友人でありながら、彼の秘書として24時間何があっても駆けつけるような人だ。
小早川さんの背中を見送りながら切ない気持ちになる。
私はどうして小早川さんのように心が広くないのだろう。 友達だから大切に想いたいし、行動で示したい。
小早川さんが伊織さんを想うように、私も桃菜を想いたいのに。 自分の心の狭さに悲しくなる。
「また何を碧人の背中をずっと見つめているんだ」
「ひゃッ。びっくりしたあ~…。 伊織さん突然後ろに立たないで下さい!」
振り返ると黒いオーラを身にまとった伊織さんが、両腕を組みながらこちらを見下ろす。
その顔に笑顔はない。いつも通り不機嫌そうで何を考えているのか分からないような顔だ。



