甘ったるい声に悲し気な表情。 絶対に私は騙されない。
桃菜は私と休日を過ごしたいわけじゃない。伊織さんと一緒にいたいだけだと
この頃には確信に変わっていた。
「ん~…しかし」
「伊織さん、桃菜この辺に住んだことないし友達もいなくって…寂しいの」
伊織さんは困り切っていたけれど、桃菜はジッと彼の瞳を見つめ何度も「お願い」と泣きそうな顔で言う。
大抵の男性は桃菜に甘えられると折れざる得ない。それも知っている。
その時ちょうど小早川さんが家にやって来た。
今日も仕事の関係でうちに寄ると連絡があったばかりだ。
「お食事中失礼します、真凛さん。 桃菜さんもこんばんは」
「あ!いらっしゃいませ、小早川さん。今お茶の用意をしますね」
「いえいえ、お食事中をお邪魔したのはこっちなのでゆっくりとしていてください。
それよりも家に入って来る時に話が聞こえましたが、桃菜さん良かったら日曜日は俺がこの辺を案内しますよ。」
「え?!」



