私がどんな事をされても桃菜のような女の子を放っておけないのは、この母の影響があるからかもしれない。
いつまで経っても少女のように純粋な母は、20歳にして父と結婚した。
その頃祖父と祖母が経営していた街の小さなケーキ屋さんは経営不振に陥り潰れた。
因みに祖父も父もうちには婿養子として入って来た。 その数年後、父と母は離婚した。 たまに父とも会うが、彼は今は都内でサラリーマンをしている。離婚の原因は性格の不一致である。
それなりの財産があったし、この実家もあったので困らない程度には裕福な家庭で育った。
母は早くに私を産んだせいかとても自由奔放な人だった。 再婚はしなかったけれど小さな頃から何度か彼氏が変わった。
母親としてより女として生きる彼女を嫌いだと思った事はない、が小さい頃はそれなりに寂しい想いをした。 そのせいか一人っ子だった私はほぼ祖母に育てられたようなもので、周りの子よりしっかり者になっていった。
その祖母も痴呆が進み現在は老人ホームにお世話になっている。 だから大きな実家で私は現在一人暮らしをしていた…のだがこの度母が借金を抱えて実家に帰ってきたというわけだ。



