【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない


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マンションに戻るとリビングで楽し気な桃菜の笑い声が聴こえてきた。 この笑い方は、初めて会った男性に媚びを売る桃菜の良く知った笑い声だった。

「うふふ~。あはは~。碧人さんってば面白い人ですね~。
あ!真凛ちゃあん!やっと帰って来たー!
うわああん、会いたかったよぉ!顔が見れて嬉しい~」

人懐っこい笑い声と笑顔はリビングを突き抜けるように響き渡る。

コミュ力の高さには毎度毎度驚かさせられる。 男性限定だが、桃菜は既に小早川さんを馴れ馴れしく’碧人さん’と呼んでいた。

そして私を見つけた桃菜は大きな瞳に涙をいっぱい浮かべて私へと抱き着いて来た。

「も、桃菜…どうしてここに…!」

「だってぇ…さっき電話したのに真凛ちゃん勝手に切っちゃったでしょう?その後何度掛けても出てくれないし…
だからね、真凛ちゃんのお母さんに聞いていた新居にお邪魔しちゃったの。
こんなにすごい所に住んでるなんて、桃菜本当にびっくりしちゃった!」