「もしかしたら、近いうちに大きな抗争があるのかもしれない。」
「っ…。そんなのワカンねぇだろ。もしかしたら違うかもしんねぇし。」
「…私はもう、誰も失いたくないの。姫野の全てにおいての強化をお願い。」
だから、私も強くならないと…。
どんなに辛い現実でも…。
どんなに時間がかかろうとも…。
私の乗り越えなくてはならない大きな壁。
深呼吸をして言葉を続ける。
「あ。話は変わるけど、鴻巣さんが退職したって。」
「は!?」
大和は豆鉄砲を食らったような表情になる。
「この前有馬さんと組んだばっかだろ!?てか話変わりすぎだろ!」
私が話をガラリと変えたからか、さっきの神妙さは!?と大和がテンパってる。
姫野にも鴻巣さんが有馬さんと組んだことは連絡がいっていたようだ。
まさか組んで早々退職となるとは驚きを隠せないわよね。
「何でも、止めなければならない人物がいるって言ってたみたい。」
どうしても彼の動きか引っかかる。
私に何故姫野は狙われたと思うといつ耳打ちをしておきながらも、警察の事件ファイルを渡してきた。
なのに、有馬さんと組んでそんな経たないうちに退職…。
何かを知っている?
何かを隠している?
「その鴻巣泰我なんだが、黒かもしれねぇ。」
はい?
黒かもしれないってどういうこと…?
「何かを掴んだということね。」
大和は目をつぶり、深呼吸をして話を続ける。
その言葉に私は耳を疑う。
「鴻巣泰我は、澤田組の組員だ。」
「はい!?」
私の聞き間違いじゃないわよね?
澤田組の組員!?
それは間違いない情報なの?
私が物凄い表情をしていたからなのか、大和は神妙な面持ちになる。
「新が言うには、澤田組の組員に間違いない情報らしい。だがその情報は上手いこと操作されていて、何かの上に上書きされてるらしいんだ。」
上書き…?
何のために?
「待って待って?頭が追い付かない!」
情報整理が追い付かない。
え?
刑事の鴻巣さんは、澤田の組員なんでしょ?
ということは、姫野の情報を掴むために警察に潜入したってこと?
「上書きされる前の情報は?」
「それが上手く解けなくてな。なんの情報が隠れてるのやら。」
澤田組はまだ隠してることがあるってことなの?

