フワフワする。
あたたかくて柔らかい…。
とても安心する感じー…。
何だろう。
そう思いながら目が覚めた。
目の前には私の頭を撫でる翔ちゃん。
結構近いし!
距離にして、携帯1個分の近さ!
ボボボッ!
そんな効果音が合うほどの顔の火照り。
寝顔見られた!?
絶対に白目剥いてた!
は…恥ずかしい。
「おはよう。グッスリだったから、俺の部屋で寝かせてた。気分は?」
「う…あ…大丈夫。」
私のオロオロさに翔ちゃんの心配は強くなる。
「本当か?顔が赤いぞ?熱…。」
そう言っておでこをくっつけようとした翔ちゃんに、大きな声で否定する。
「だ…だだ…大丈夫だから!熱はないの!」
「そうか?ならいいが…。」
翔ちゃんは私の頭を撫でながら、仕事を再開する。
仕事に集中しすぎず、時に私の様子を見ながら進めていた。
本当不謹慎だけど、それを嬉しいと思ってしまう。
「組の仕事がたんまりあるのに、私のせいで手をつけられてないよね…。」
さっき組員に言われた通り。
私は、翔ちゃんの仕事の邪魔ばかりしている。
「莉依のせいだなんてこれっぽっちも思ってねぇよ。むしろ、こうして居られることが嬉しいさ。」
翔ちゃんは私の頭を撫でる。
壊れ物を扱うように優しく。
「翔ちゃん…。」
優しい…。優しすぎるよ。
その優しさに、甘えてしまう。
突き放してしまえば翔ちゃんのためになるのに。
それをしないのは、きっと"姫野功希の娘"だから…。
この肩書きがなければ、この優しさは無いに等しい。

