闇に咲く華







涙が止まらない。

上手く息が出来ない…。

「…はっ…は…。」

「莉依!?」

私の異変にすぐに気がついた翔ちゃんは。過呼吸を鎮められるように私を抱き抱え、ベッドへ横にさせた。

「は…しょっ…ちゃ…。」

「大丈夫だ。うつ伏せになれ、少しずつ楽になるから。」

苦しい…。

上手く息が出来ない…。

「無理に息を吸おうとするんじゃねぇよ。大丈夫だ。息を吐け。」

背中をさするリズムに、少しずつ少しずつ落ち着いてくるのが分かる。

「ふー…はっはっ…ふー…。」

「そうだ。息を吐け、傍にいるから安心しろ。」

背中をさすっていた翔ちゃんの手は、いつの間にか頭を撫でていた。

この手の温かさは落ち着く。

頭を撫でる心地良さも…。

大きな手も…。

私を宥める優しい声も…。

全てが、愛おしい。

過呼吸になって、手を煩わせてるのにこんなことを思うのは不謹慎かもだけれど…。

あぁ。
好きだな。
愛してるんだな…と強く思うの。

「ご…めん…なさい…。ごめ…んなさ…い…。」

これは迷惑かけていることへの謝罪。

私が傍にいるべき人間ではないのに居続けていることへの謝罪。

離れることが出来ないことへの謝罪。

「大丈夫だ。お前は何も悪くねぇ。疲れただろ?ゆっくり寝てろ。」

そう言って翔ちゃんは私の頭を撫でてくれた。

心地良いー…。

もう少し…。

もう少しこのままで居させてー…。

ちゃんと…ちゃんとするからー…。

そう思いながら、私はいつの間にか眠りについていた。