「音声、もう少し大きくできるか?」

「承知。」

パソコンを操作しながら、現場の防犯カメラの音量をあげる。

気を失った莉依の傍に膝ま付く鴻巣。

何かやる…。

そう思った次の瞬間、耳を疑う言葉が出てきた。

『姫、こんなことをしてしまい申し訳ありません。全ては貴方と姫野を守るためー…。』

そう言うと、鴻巣はその場を後にした。

「莉依と姫野を…守るため?」

鴻巣は、何をしようとしているんだ…?
何が狙いなんだ?

「どういうことでしょう?鴻巣は敵なのでしょう?なのに…。」

「姫ちゃんを守ろうとしとるんか?」

「この様子からするとそうだろう。だが、正体が未だ掴めていないから安心は出来ないな。」

慶一郎の言う通り。
まだ鴻巣の真の正体が掴めていない。

莉依に手をくだそうとしているのか。

「引き続き、鴻巣のことを調べてくれ。晶と礼は神子芝と川城に変わったことがなかったかそれとなく聞いてみてくれ。ちょっとしたことでも何でもだ。」

問題が次から次へとやってきて山積みになっていく。

澤田、清水、鴻巣…。

コイツらの接点は何なんだ。

清水は澤田の傘下なのは知ってはいるが…。
刑務所に澤田國光がいる限り、澤田は大々的には動かないはずだ。

それなのに澤田のために動いている清水…。

何のために…。

「慶一郎、悪いが…。」

「澤田、清水、鴻巣の接点だろう?」

…コイツはエスパーか何かか?
俺の言いたいことを当てやがった。

「話が早いな。そこから奴らの狙いが分かるかも知れねぇ。」

そうだ。
必ず何かしら見えてくるはずだ。

莉依をこれ以上闇に落とさないためにも、俺が守ってやらねぇと…。