「あら。学校の門に、誰かいらっしゃいますね?」

本当だ。
ガタイの良い…。

「鴻巣さん!?」

私は思い切り立ち上がる。

何故ここに!?

「鴻巣さんって、この前言ってた、新しい刑事さん?」

私はうんと頷く。
あの人、苦手なんだよなー。

「事件の事ですかね?」

「きっとそうだと思うんだけど…。」

行きたくない。
そんな私は顔に出ていたらしく、満里奈と椿は付いてきてくれると言ってくれた。

一人じゃないなら。
護衛も近くに居るし、心配はないんだけどね。

何かザワザワする。

この前の殺気も所々でするし、でも振り向くと殺気はなくなる。



校門につくと、有馬さんもいた。

「有馬さんも!どうしたんですか?」

「あぁ、近くを通ったから、様子を聞きに来たんだ。お昼か?わりぃな。」

すると後ろから、鴻巣さんが黒い冊子を持って私のところに来た。

「姫野さん、こちら当時の事件の資料です。私たちは見ましたが、清宮さんでも必要かと思ってお持ちしました。」

「姫ちゃんなら、何か思い出すこともあるかもしれねぇしな。」

本当はこんなことしちゃ上に怒られるがな。
と言っていたが、有馬さんの表情は悪びれた様子もない。

しょ…職権乱用だわ。

冊子を受け取ろうとしたとき、鴻巣さんは私に耳打ちしてきた。

ー何故姫野は狙われたと思う?ー

!?

息が止まるかと思った。
顔をあげれば、鴻巣さんは有馬さんと話をしている。

何で鴻巣さんがそんなこと言うのだろう。

不思議なくらいじわじわと恐怖が体を蝕んでいく。

何故姫野は狙われたと思うー…か。