心配かけないよう話題を変える。

良く見れば、翔ちゃんはスーツのままだ。

「翔ちゃん?もしかして今帰ってきたばかりなの?」

「あぁ、他の組のことで遅くなっちまった。」

少し疲れてるね。

疲れているときの翔ちゃんは必ず顎を触る癖がある。

その姿に可愛いと思ったことは内緒にしておこう。

「もう、落ち着いたから大丈夫。翔ちゃんも休んで?」

「…本当に大丈夫か?」

「うん。部屋に戻ってもう一度寝るよ。」

「部屋までついていく。」

「もぉ…、子どもじゃないんだから大丈夫だよ。」

「俺からしたら十分子ども。」

そう言って、私の頭を優しくてポンポンと撫でてくれた。

私はそんな翔ちゃんの姿に、簡単に心臓を高鳴らせてしまう。

この人は、平気でやるんだからー…。
私はいつもドキドキしっぱなし。

いつからだろう、 好きになったのは。

覚えてないくらい幼い頃から。

気づいたら、私の目は彼を追っていたのだ。

彼が居なければ、今の私はいないと言っても過言ではない。