「莉依!」
「莉依さん!」
声のする方に振り向くと、満里奈と椿は不安そうな顔でこちらに駆けてきた。
「ごめんね。明日から護衛つきになった。門で見張る者と私の近くで護衛の者。窮屈ー!」
おちゃらけながら言うと、安心したのか表情が柔らかくなる。
「それは良いのよ!全く、1人で突っ走って!」
「怪我がなくてよかったですわ。」
それから私たちは、警察で聴取。
何があったのか詳しく話すことになった。
長い長い時間、話は進んでいった。
昔の事件を知っている刑事さんもいて、そんな長くならなかったけど、幼い頃の話をさせられた。
近くに翔ちゃんがいたから取り乱すことはなかったけど。
澤田組…。
必ず関わっている可能性が高い気がする。
姫野組にも探ってもらおうか。
電話じゃみんなから離れなきゃならないから、LINEで連絡する。
―黒龍、澤田組一人息子の澤田光秀を調べて。―
そう送ってすぐ、スマフォが光る。
―了解です。―
これで何かつかめると良いんだけど。
壊れそうな自分。
冷静な自分。
そんな姿に私は驚き、何故壊れそうなのに冷静でいられるのか。
何故冷静なのに壊れそうなのか。
自分自身がわからない。
「お前さん、大丈夫かい?」
「有馬さん…、なんとかですかね。」
有馬さん。
私の両親の事件から関わっている刑事さん。
60歳と聞いたけど、全く衰えを感じさせない鋭さ。
「わりぃな。こんな時間まで居させて。」
「有馬さん、お久しぶりです。」
翔ちゃんが、有馬さんに頭を下げた。
後ろにいた晶さんたちも、丁寧なお辞儀をしていた。
鬼龍のころからお世話になってるから、みんなも顔見知りなのだ。

