闇に咲く華




朝起きて身支度をし学校に着いたとき、いつもと違う違和感を感じた。

周りのみんなはいつものように、キャーと騒ぎながら憧れのような視線を送ってくるが、そのなかに違う視線があるのに気がついた。

それは…殺気…。

周りを見るが、そんな人何処にもいない。


「ん?莉依、どうしたの?」

「莉依さん本調子じゃないのでは?」

だめだめ!心配させちゃ!

「ごめんね、何でもない!」


二人に気づかれぬいよう周りをまた見るが、殺気は感じられなかった。


気のせいかと思いながら足を進める。


その日から、毎日決まって朝の時間に殺気を感じるようになった。


何度振り向いても誰もいない。

翔ちゃんに相談してみる?

いや、被害が出てないし、様子見…か。

「莉依?何キョロキョロしてんの?」

「さっきから周りを見てますね?」

満里奈と椿が心配そうに話しかけてきた。

あからさまにキョロキョロしちゃったかな?

「ううん。大丈夫!何でもなーい!」

我ながら下手な誤魔化し。

絶対二人は何が気付いた。

勘のいい二人だ。

でも私の様子を見て、問いただすことはしなかった。

「そういえば、最近黒龍という族が暴れ始めているってお兄様が言ってましたわ!」

右手のひらに左手の拳をポンとのせながら、黒龍という暴走族の話をしはじめた。

「黒龍?」

「なーんか、悪趣味な名前ね。」

「何でも、何年も前から女、子ども、老人にも手を出しているみたいで、厄介だーってお兄様が言ってましたの。」

うげぇ。
女、子ども、老人…。

「厄介な族なら、翔ちゃんの耳にもきっと入ってるかも。」

「何かあれば、お互いに情報を流すと思いますわ!心配ありません!」

「そうね、恐ろしくて手が出せないと言われている世代の方たちだものね!」

自分の笑いがぎこちなく感じる

黒龍…

なにか嫌な予感が。
こんなときの予感はものすごく当たる。
何も起きないといいんだけど。