ん…。

「ここは…?」

私、昨日…。

「目が覚めたか。」

私が目覚めたと同時に、甘いホットコーヒーを翔ちゃんが持ってきていた。

「しょ…翔ちゃん!…!?」

勢いよく起き上がったため、頭に痛みを感じた。
痛い…。

「昨日あんだけ暴れたんだ、体の負担がでかかったんだな。」

「暴れただなんて…。」

そっか、そういえば昨日ー…。
嫌なこと思い出したな。


「変なこと考えんなよ?」

「ー…。」

翔ちゃんにはバレバレなんだ。

私が1人でいると、またパニックを起し兼ねないと思って、私の部屋で今まで一緒にいてくれたんだろう。


「いい歳して…克服できるかな…。」

私は呟く。
その姿を見て、翔ちゃんは呆れることなく優しい笑顔を向けた。

「無理することない。そんな思い詰めなくても、俺が側にいる。」

私はその言葉に何とも言えない笑顔を向けた。

しんみりしている中、部屋の外が騒がしいことに気がつく。
その瞬間、扉がものすごい勢いで開いた。


「莉依!大丈夫?」

「ま…満里奈!?びっくりしたー!」

「満里奈さん、静かに行こうっていいましたのに…。」

「椿まで!」

「身体、大丈夫ですか?」

二人とも、心配で来てくれたのね。

大丈夫と言うかわりに二人に笑顔を向けた。

そうでないと、仮面が剥がれそう。

二人はきっと今の私の状況に気づいてる。
でもあえて気付かないふりをしているところ、優しさを感じる。

「落ち着いたら、駅前のタピオカ飲みに行こ!あとマカロン食べて、クレープ食べて、アイスも…。」

「満里奈さん、どんだけ食べたいんですか?」

満里奈の食い気に、椿はクスクス笑いながら突っ込みをいれる。

翔ちゃんも静かにでも確実に笑ってる。

「食べるときと食べないときの差が激しいよね!」

私も思わず吹き出しながら言う。

「満里奈さまは、集中すると時間もよく忘れて仕事をしますからね?」



ドアに目をやると、心配ですよと言いながら晶さんがティーセットを持って入ってきた。

「ダージリンティーとマフィンです。三人でどうぞ召し上がってください。」

爽やかスマイルを見せたと思いきや、翔ちゃんの方に向いて仕事モードの顔になる。

「若、おやじがお呼びです。私も出席するよう言われています。」

「わかった、すぐ向かう。」


翔ちゃんが出ていく瞬間、こちらを向いた。

「ゆっくりしてけ。」

そう満里奈と椿に声をかけ、晶さんと部屋を出た。