暗闇の中、勢いよく起きあがる。

身体中大量の汗で気持ちが悪い。

「はぁ…はぁ…夢…か。」

幼い頃の…父と母が殺された日の記憶ー…。

「はぁ…。」

大きく深呼吸し、私は何とか着替えて自室からでる。

大広間の隣にあるキッチンへ向かい、お茶を取り出す。

怖い夢を打ち消すかのように、イッキに飲み干す。

「…はぁ、だめだ…落ち着かない…。」

大広間へ移動し、小さな照明をつけ、大きなソファーの上でうずくまる。

震えが止まらない…。

震える体を強く抱き締めながら、何度も何度も落ち着けと呟く。

数分もしないうちに、異変に気がついたのか、誰かが明かりをつけてこちらに来た。

「莉依?どうした?」

顔を上げると、声をかけてきた男の人は私の顔をみるなり眉間に皺を寄せた。

「また、夢に出たのか?」

「うん…でも、少し落ち着いたから大丈夫だよ。翔ちゃん、心配させてごめんね。」

落ち着いてきたなんて嘘。
微かに震える私の身体。
私は毎晩、幼い頃の出来事が夢に出てくる。
そして、1度目覚めてしまうと中々眠れない。

いい加減慣れなきゃいけないなとも思うのだが、恐怖心を捨てられずにいる。

「顔色が良くないな…。莉依はいつも我慢をするからなぁ…。」

そう言いながら、翔ちゃんは私の頭を撫でてくる。

あぁ、翔ちゃんと居ると安心するー…。