それを見た川城の組長さんは目を見開いたかと思ったら大きな声で笑い出した。

「っはははは!翔樹、おまえ、樹にそっくりだなぁ。独占欲のか溜まりが。」

物凄く豪快に笑ったからか、お腹を抱えている。

川城の組長が、お腹を抱えて笑ってるなんて。
呆気にとられてると、隣から焦った声が聞こえてきた。

「!?いや、その…。」

翔ちゃんが珍しく焦ってる。

普段焦ることのない翔ちゃんを動揺させるとは、川城のおじ様…恐るべし。

「ま、ほどほどにな。樹にもよろしく伝えといてくれな。」

そう言いながら川城の組長はその場を離れた。

「翔ちゃん、顔赤いよ?大丈夫?」

「あぁ、気にすんな。」

そう言いながら、口元に手を当てながら顔をそらす翔ちゃん。

「?ならいいんだけど…。」

本当に大丈夫か?
そう思っていると、いつの間にか挨拶回りに行っていた龍也さんが戻ってきた。

「おー、いたいた。親父に会えたか?」

「龍也さん!」

「今さっきだ。嵐のような人だな。」

ハハっと笑いながら話を続ける。

「なぁ、最近うちのシマで清水組の奴等が動いている。清宮のところも気を付けた方がいいぞ。」

「あぁ、悪いな。慶一郎にも調べさせる。」

「用心した方がいいぞ。裏には澤田組がついてるらしい。」

え?

「澤…田組…。」

「どうゆうことだ?」

心臓が恐いくらい、痛く速く動く。

息も苦しくなる。
ダメだ…頭が混乱してる…。

清水組って確か、薬やら恐喝やらやってる奴らだよね?

澤田組がなんでバックについてるの?
澤田の傘下に入ってるってこと?

でも、澤田は刑務所に入れられている。

澤田が刑務所から指示してるってこと…?

そんなはず…。

私が不安そうな表情をしていたからなのか、翔ちゃんが私の肩を優しく包んだ。

「大丈夫だ。お前は何も心配することはない。」

翔ちゃん…。

でもこれは清宮ではなく、姫野の問題…。

…私が両親を殺したの。

「は…はっ…は…。」

息が整えられない。
苦しい…。

「!?りぃ!」

助けて…。
助けて…。



助けて…!