今、ものすっごい態勢。

どんな態勢かって?

翔ちゃんは仕事をするのに、自分のデスクのところに居るんだけど、椅子に座った翔ちゃんの膝の上に座らされてる姫野莉依です。
はい。

翔ちゃんを背にしてるから、首筋に息がかかってくすぐったい。

時折、私の頭を撫でる翔ちゃん。

心臓が物凄くうるさい…。

どうしよう。
どうしたらいい?

訳が解らず、緊張もあり、オロオロしてしまう。

ふいに、後頭部辺りに何かが触れた。

「ひぁぁ…っ。」

身体を思わず仰け反ってしまった。
自分の出した声にも驚く。

凄い声に、恥ずかしさが再び。

頭にキスされた!?

漫画やアニメなどの表現で、"かぁぁぁ!"という擬音がピッタリなくらいの茹でダコになりつつある。

頭上から、翔ちゃんの笑い声が聞こえてきた。

「わりぃ。可愛くってついな。」

な…ななっ!?

その言葉に、完璧な茹でダコになるのは早かった。

「し…仕事は!?」

「ん?仕事なんてねぇよ?」

な…ななっ!?
仕事はなかったの!?

じゃぁ、何のためにこの態勢に…。

…まさか…。

「翔ちゃん?まさかとは思うけど…、私の反応を…、見て楽しんでない?」

私の言葉に満面の笑み。

「どんな反応をするか見てみたくてな。必死に耐える姿が可愛くて、このまま部屋から出したくねぇな。」

待って待って!
翔ちゃんってそんなことする人だった?