三人の会話に溜め息をつき、何を思ったのか、翔ちゃんは自分の胸に私の顔を押し付けながら、私を抱き上げた。

しかも、"お姫様抱っこ"。

「し…翔ちゃん!?」

体温が急激に上がり、胸の音がうるさく動き出す。

「良いところを邪魔されたんだ。俺の部屋に行くぞ。」

い…良いところって…。

「もう、恥ずかしい…。」

私はお姫様抱っこをされたまま、翔ちゃんの部屋に連れていかれた。

でも不思議。
翔ちゃんのムスクの香りで、恥ずかしさもなくなる。

むしろ落ち着いてきてる。

あぁ、好きだなぁと改めて感じたのだー…。

翔樹は莉依に、優しい笑顔を向けていた。
それは、自分のものになったという嬉しさや、莉依の照れて自分にしがみついている可愛さからくるものであった。

それは、皆今まで見たことの無い穏やかな表情だった。

一方、縁側に残された5人は、嬉しいやら不思議やら、様々な感情になっていた。

「翔樹の奴、好きな女を手に入れたら、すげぇ甘い。」

「せ…せやな。」

「…あの甘さ。姫もこれからが大変だな。」

「ふふ。晶、素が出てるわ。」

「それほど、翔樹の溺愛っぷりが見れたんだ。これから楽しみだなぁ。じいちゃんになるのも早いかな?」

そんな会話は、2人の耳には入らなかった。

樹と優理は、近いうちに孫の顔が見れるとウキウキもしていた。

そんな日も、遠くはない。