「私…帰ってもいいの?」

「当たり前だ。清宮はお前の家でもあるんだ。」

戻ってこい。
力強く言った翔ちゃんに、賛同するかのように頷く晶さんと礼ちゃん、慶ちゃん。

止まっていた涙がまた溢れ出す。

「突き放したから…、嫌われたんじゃないかって思って…。」

「嫌うわけねぇだろ。親父もお袋も心配してる。」

「でも…。」

「大丈夫だ。お前を嫌うなんて絶対無い。元気な顔をみせてやれ。」

不安になるなら、何度でも大丈夫。
翔ちゃんはそう強く言ってくれた。

「さぁ、手当てもしなきゃなので、戻りますよ?」

「わっ、仕事モードや。」

「当たり前です。まだまだやることが沢山なんですから。」

「報告書は出来てる。データを出せば終わる。」

いつの間にやら、タブレットを操作していた慶ちゃんも仕事モードになってて、思わず笑ってしまった。

それを見た翔ちゃんは私の頭を撫でる。

「帰るぞ。」

「…うん!」

優しく手をさしのべてくれた翔ちゃん達。


「あ!姫野に戻る前に私組員に暴言を言われて…。」

戻ってもまた言われるかな。

「あ"あ!?」

まさかの私の発言に、翔ちゃんの表情が殺人級の恐ろしさになる。

何時何処で言われたんだ!と翔ちゃんに凄まれる。

地雷落としちゃった?
言わないほうがその人のためだったかな?

「おー、その組員は俺が絞めといたで?」

しれっと礼ちゃんは言うも、翔ちゃんの怒りは収まらず…。

「即刻俺も絞めなきゃな。」

そう言った翔ちゃんと共に大和たちが同調しだす。

それを諌めるのに必死になるも、その光景にふと力が抜ける。

これからもこんな皆を大切にしなくてはと思う。

勿論、姫野も。

この先、また辛いことや苦しいことが待っているかもしれない。

でももう迷わない。

惑わされない。

私には、守りたい人達がいる。

大切な人がいる。

この人達のために私は強くなる。

前を向いて、歩いていけるだろう。

まだまだ、闇が多いこの世界。
でも、独りじゃない。

皆がいるー…。