何とか力を振り絞って立ち上がる。
私は、澤田達とやり合っている翔ちゃん達に目を向ける。
ボロボロになりながらも、私のために拳を振ってくれている。
こんな…私のために…。
「さぁ、お前の決断の時だ。ワシのものになって可愛がられるか、ならずにこ奴らをこの弾の餌食にさせるか。」
「莉依!」
澤田は、自身の後ろにいた組員に、目で合図し発砲させる。
それは、翔ちゃんの左脇腹に命中した。
「ぐっ…!」
「!?翔ちゃん!?」
「何を躊躇う。躊躇えば躊躇うほど、この弾をくらうのだぞ?」
「もう…っ、もうやめて!!」
私が…私が澤田の元へ行けば、皆は助かる…。
「っ…俺なら大丈夫だ!澤田の言うことを鵜呑みにするな!」
「姫!ご自分を犠牲にするべきではありません!」
「そうや!澤田の言いなりになるんやない!」
「澤田のものになるなど、そんな考えはやめるんだ!」
「姫ちゃん、そんな奴の言葉に踊らされちゃダメだ!」
翔ちゃん、晶さん、礼ちゃん、慶ちゃん、龍也さん…。
「こんなことで、屈する俺らじゃねぇだろ!清宮もそうだ!」
「せや!のみ込まれたらあかんで!」
「あなたは、澤田に屈して闇に落ちる人ではないのです!」
「気をしっかり持て!」
大和、芳樹、新、陽介…。
「莉依ちゃん!自分を大切にしてくてる人達がこんなにいる!負けないで!」
優杏さん…。
涙が溢れ落ちそうになる。
「信じろ。」
翔ちゃんの言葉に、一瞬、周りの音が静かになったのを感じたー…。
失いたくない…。

