「300人、鴻巣がのしたってさ。」
「はぁ!?300人を1人でやとぉ!?」
「あり得ない数を…。」
「ほぅ。」
俺も含めた4人は、驚きを隠せないでいる。
300人を、1人のおっさんがのせるって鴻巣はやっぱり強ぇな。
その様子を見ていた烏丸は肩を震わせながら笑いを堪えている。
…大丈夫か?
「そのくらい鴻巣なら楽勝だよ。何てったって、初代白龍の静龍という異名があり、異名通り静かに倒していく奴だからな。ちょっとやそっとじゃやられねぇよ。」
烏丸によると昔は治安が悪く、1人300人を相手にするのはざらじゃなかったという。
確かに、親父も言ってたな。
昔はヤバかったと。
初代白龍は今でも恐れられている。
流石としか言いようがねぇな。
「お前らも、本気で相手しろよ?気を抜くと殺られるからな。援護するから、お前らはまっすぐ莉依ちゃんのところに行け。」
「晶、礼、慶一郎、暴れるぞ。」
烏丸と俺の言葉に3人は頷き、真剣な表情になる。
澤田なんかに莉依を渡してたまるか。
闇になんか落とさせやしねぇ。
「若、そろそろ東の繁華街に着きます。」
「あぁ。気を引き締めるぞ。」
姫野たちと落ち合い、澤田の本拠地へ乗り込む。
莉依のメンタルが、少しでも保たれている間に組員を何とかしなければ。
角を曲がると、繁華街の入り口が見えた。
そこには、先に着いていたであろう姫野が居た。
ちょうど、龍也も着いたようだ。
「集まったな。大和、莉依の様子は分かるか?」
「あぁ。たった今、澤田の本拠地に足を踏み入れたようだ。新が澤田の防犯カメラのデータを調べたところだ。」
「川城も、できる限りの人数を連れてきた。姫ちゃん、やっぱり1人で行ったんだな。」
「莉依は…、決着をつけに行ったんだ。皆を巻き込ませないために。それに気付けなかったのは俺の落ち度だ。」
大和は頭を下げる。
だが、今は悠長に話をしている場合ではない。
「まずは莉依を守ることが先決だ。鴻巣も動いてくれている。俺らもやることはしっかりとやり通すぞ。」
「俺の組は、翔樹と大和達が進めるよう援護する。姫ちゃんを、頼むぞ?」
そう言うと龍也は、キリッとした表情に切り替え、繁華街に目を向ける。
切り替えが上手いな。
頼もしい限りだ。
繁華街に入り、目指すは澤田の本拠地。
待ってろよ…莉依。
翔樹side end

