息を整えながら、部屋を勢い良く開ける。
そこはカーテンが閉めきられ、電気も消された薄暗い部屋となっていた
急いでカーテンを全部開けると、一番奥の窓が閉められてはいるものの、鍵は開いていた。
「まさか…。」
いやいや、莉依にかぎって…。
そんなことするはずがない?
本当か?
親父が言っていた言葉が頭で木霊する。
"莉依ちゃんの動きに注意していてくれ。"
拳を強く握り、壁をおもいっきり叩く。
くそっ…。
何で気づかなかった?
側近の俺が…。
「大和…莉依ちゃんは…。」
優杏が着くも、莉依がいないということを瞬時に察する。
「莉依さんが…居ない…。」
「どこに行きはったんやろか?」
「大和、何か分かっ…っ!」
陽介は、俺の顔を見るなりここで起きたことを察したようだ。
「莉依…1人で澤田に向かったかもしれねぇ…。」
俺の言葉に、皆は言葉を失う。
「1人でって、そんなん無謀や!澤田は何千人もの組員が居るのに!」
「1人で決着をつけにですか!?」
莉依ならやりかねねぇ。
だが、どこで見落とした!?
「清宮の若に連絡入れろ!話をする!陽介は親父に報告、新、念のため防犯カメラを頼む。芳樹は状況説明を組員に。」
俺の指示に、皆は了解と返事をしてすぐ行動に移す。

