大和side
莉依が先代の部屋へ向かってからそろそろ5分が経つ…。
めずらしく長いな。
まぁ、決戦前に部屋で不安を押し消したいわな。
「莉依さんにしては、長いですね?」
「せやけど、先代の組長と姐さんを葬った奴との決戦やで?行ってきます以外にも、娘である莉依ちゃんは、そらぎょうさん話すこともあるやろ?」
「芳樹のくせに、まともなこと言ったわな。」
「何やとー!?」
まともなことを言った芳樹に、俺は思わず口角が緩んでしまった。
もうすぐ澤田とやり合うのに、緊張感がないな…と反省。
10年かー…。
姫野にとって苦しく長い10年…。
だが、莉依はそれ以上の苦しみを味わった。
だからこそ、澤田との決着をつけて、莉依には伸び伸びと、安心して幸せになってほしい。
にしても、遅いな。
あの部屋で何してんだ?
行ってきますと言うなら直ぐすむはずだ…。
嫌な予感がする。
背中に嫌な汗が垂れる。
「大和、呼んでくるか?」
「…莉依がここから出て何分だ?」
新が時計をみながら答える。
「5分過ぎてますね。」
「新、例のデータは?」
俺は少し焦り始める。
嫌な予感が、現実に…。
「データはコピーはしてあるので、USB本体は莉依さんに渡しました。」
「っ!?」
「何や何や?そんなこと気にしてどないした?」
俺は急いで莉依が向かった親父さんの部屋へと走る。
その様子を見て、新たちは追いかける。
まさか…。
だが、当たらないでほしい。

