「しごき部屋、使えるわね。」
そう言って笑顔で皆を見ると、へとへとで倒れていた。
横で奏希叔父様は苦笑い。
「莉依ちゃん、兄貴よりしごきがキツいね。」
そう言いながらも、息一つ乱さない奏希叔父様。
さすが父の弟。
「…、莉依…。タンマ…、キツっ…。」
「私は…、戦うより…、情報操…作がいいですね…。」
「女で…、こないなメニュー…、こなせるてどんだけやねん。」
「…、さすが先代の娘だ。」
これだけで音を上げるとは。
「ここまででいいわね。出発まであと1時間。しっかりと身なり整えてきなさい。」
皆はキツ!と言いながらも、すぐ息を整えて立ち上がり、次のために動き出す。
まだ、しごき足りなかった?と聞くと、慌てて逃げ出す。
「ははっ。アイツらまだまだだな。」
「今日の決戦に響いたら嫌ですから、ここまでにしますけどね。」
私は笑いながら奏希叔父様に話しかける。
「莉依ちゃん、ヤバいと感じたら、撤退してもいいんだからな?独りじゃねぇし、皆がいる。」
抱え込まなくてもいいんだぞ。
そう言ってくれているようで、心が少し暖かくなる。
本当は、逃げ出したいくらいに怖い。
澤田の前に立ちたくないくらい体が震えてしまう。
今までは、翔ちゃんがずっといたからやってこれた。
でも、今は私独りで何とかしないといけない。
恐怖を、体の震えを抑えるように深呼吸する。
奏希叔父様には、分かってしまうのかもしれない。
でも、それでも私は、姫野の長として立たなければならない。
長年の確執を立ちきるために。
何よりも、父と母のためにー…。

