「組に戻るだろ?俺も準備が出来次第、澤田に向かう。」
腕が鳴るなー。
右肩を大きく回しながら、呑気に言い始めた。
この人は…、あんまり掴めない人だな。
「何や、掴めのうやっちゃな。」
「謎多き白龍の幹部にして、副総長。そしてシークレット組員。開いた口が塞がらねーわ。」
「…珍しいな、お前が素で喋るの。」
「慶一郎、こいつの仮面を剥がすほどの破壊力って訳だ。」
親父達でも知らなかった事が、ポンポン出てきて驚きを隠せる方がすげぇよ。
それでいて強く、皆から慕われていた莉依の親父さん。
生きていたら、手合わせ願いたかったな。
「さぁ、俺らも姫ちゃん守るために本気を出さんとなぁ。」
「礼さん。今まで本気じゃなかったということでしょうか?」
「…、じゃぁ、全部任せるか。」
俺と晶の言葉に、礼はすごく焦る。
「まぁ、特攻隊長やってたほどだし。先頭切って行ってもらうのもありか。」
慶一郎の最後の一言に、礼は大声で叫ぶ。
「先頭切ってやってやらー!俺をなめんなや!」
うるさい。
3人で礼を切る。
この時、油断してたのかも知れねぇ。
この抗争が、とてつもなく大きく、残酷なものになるとはー…。
翔樹side end

