「夜の九時に澤田組へ来い。そう書かれている。」
「ホンマや!詩みたいになっとって、そっちに気がうつってたわ。」
「確かに。これを姫野に向けて発信したのですね。姫野には新さんがいます。この情報はもう既に知っておられるでしょう。」
「夜の九時なら、組員の体制も整えられる。若、すぐに準備にかかれるようにしなければ。」
「あぁ。清宮に残る者、俺達に着いていく者と分けるぞ。」
「俺も久々に行かせてもらうかな。」
「店を空けて良いのかよ?」
俺の言葉に烏丸信吾は、俺歳上なのになぁと言いながらも妖艶な笑みを見せた。
「大丈夫だ。一週間は休みにした。今日ヤりあっても、怪我人の対応とかあるだろ?飯作るのも大変だろ。」
…。
この人は何処まで先を予測してるんだ?
怪我人が沢山出ることは承知済みだ。
だが、この人はその後も考えている。
スゲーな本当。
「清宮の若よ。バックアップは任せろ。年はくったが、まだまだ動けるからな。」
この日の為に今日まで鍛えてきたんだ。
そう言う烏丸信吾は笑っているが、目は真剣。
怒りの炎を静かに燃やしている。
そう感じた。
「清宮の若達よ、覚悟していけよ?」
その言葉に、俺達は息を飲む。
先ほどの笑みが嘘のように、表情が読み取れなくなる。
「今までにない大きな抗争になるだろう。今までとは規模が違う。気を引き締めろよ?」
コイツの言う通り。
もしかしたら、死人が出るかも知れねぇ。
いや、俺達も死んでしまう可能性だってある。
だが、自ら犠牲になろうとしている莉依を守るためにも、俺は必ず動いてみせる。

