2枚目の文の最後、良く見てみると、薄く姫野の上層部のみ知る暗号が書かれていた。

21-01-21-72-23"-72-21"-13-91-52-12-93.

…カワカミグミガウラニイル?

川上組?
この辺に、川上組なんて無いんだけれど…。

一体、何処の組の事を父はここに暗号として残したのだろう…。

悩んで悩んで悩みまくっているときに、扉をノックする音が聞こえた。

「はい?」

「莉依ちゃん、優杏です。」

優杏さん?
どうしたんだろう…、心なしか声に焦りが含まれている…。

私は入るように促し、優杏さんを見る。
瞳が揺れている…。

何かに怯えている?
それとも動揺している?

「どうしたの?大和達は?」

珍しく1人でいる優杏さん。

大和達は、総会の片付けで居ないらいし。
あぁ。姫野が会場だから、片付けもしっかりやらないとだものね。

1人で納得をしていると、優杏さんが口を開いた。

「澤田のデータベースを調べていたら、ある組の名前が出てきたの。」

ある組の名前?

「川上組。」

息をのむ。
私が今さっき、手紙の内容から知った組の名前…。

澤田と関係があるの?

「…調べたところ、川上組は関西で最恐最悪で最大の組。関西で知らない者はいないと言われている組よ。」

関西!?
何で関西の組が、関東に?
しかも澤田との繋がりがあるって…。

オーバーヒートしそうだ。

「その名前があるという事は、澤田はその川上組の傘下に入ったということ?それとも澤田の傘下に?でなければ同盟を組んだ?」

もう、解らなすぎて考えが纏まらない。
どうして澤田のデータベースに関西の組の名前があるの?
傘下に入る、入れるにしても、前例がないことよ?

そんなことあるの?

「優杏さん、私の父は川上組の名を姫野の暗号でこの手紙に残していたの。父は何を知っていたのかしら…。」

「莉依ちゃんのお父様も…。実は、姫野のデータベースに、特殊な鍵がかかっているデータがあったの。私の両親が掛けた…特殊な鍵データよ。」

ん?
何か関係があるの?

私が優杏さんをじっと見つめ、次の言葉を待つ。

「何とかして開けてみたの。そこには、川上組に中里の情報網を澤田が渡すために動いている事、その変わりに澤田は人身売買の金銭全てを川上組がまとめて澤田に渡すという条件があったことが書かれていたの…。」

人身売買の金銭全てを川上組からもらうかわりに、澤田は川上組に優杏さんの両親の情報網を渡すことを…交わしたということ?


「澤田が脱獄したのは、それがあったからということ?」

「わからない。両親のデータにはそれしかなかった。」

そうか…。
謎がまた増えた…。

もう、どうしてこうも私の身の回りで謎が飛び交うの?

嫌になるなー。

「兎に角、川上組を優杏さんは調べてくれますか?どう動くのかも含め。」

「わかった。何か分ければ報告するね。」

そう言って、優杏さんは部屋を出た。