翔樹side

鴻巣の言葉に、沈黙が流れる。

真実が違うものだと?
どういうことだ…?

「おい、お前は何のために澤田に潜入してるんだ。」

沈黙が流れる中、俺は鴻巣に問いかける。

鴻巣は、目を閉じて深呼吸をし、ゆっくり立ち上がる。

俺達の目を見てしっかりと言葉を発した。

「私は、澤田を潰すために潜入いたしました。先代の組長である功希様に命じられ、情報を姫野に報告していました。」

亡くなられてからは、自己判断で続けていましたという。

「私は極秘裏で、澤田を潰すつもりでいました。ですが…、澤田は様々な形で…。」

言葉につまる鴻巣。

深呼吸し、自身を落ち着かせて話を続ける。

「澤田は莉依様の心を壊し、凌佳様の代わりに自分のものにしようと企んでおります。」

ここにいる全員が更なる驚愕で声が出せない。

息が詰まりそうな程、衝撃で衝撃的を重ねた内容であった。

澤田は莉依を…欲しがってる?

「…、おい。澤田はUSBメモリーと、優杏の情報網が欲しいんじゃないのか!?」

何とか声を出したのは、大和だった。

「私も始めはそう思っていました。その情報が手に入れば、外に漏れることなく澤田は今まで通り人身売買ができると豪語してましたから…。」

豪語する程だったのに、どこで澤田は意図を変えたんだ?