「頭が硬いなお前ら。要は考えようだ、"澤田には手を出すな"と言っていたが、"澤田組には手を出すな"とは莉依ちゃんは言っていない…と俺は捉えるがな。」
奏希さんの言葉に、俺と大和は目を見開く。
「まさか…親父…。」
「清宮の若と大和ならあの性格分かるだろ?莉依ちゃんのことだ、必ず無茶をするに決まってる。今回この話を出したのも、皆を巻き込みたくないからだ。きっと、俺達のことも。」
姫野組も巻き込みたくないから?
どういうことだ…?
「莉依ちゃん、10年前の事件は自分のせいだと思っているままだ。自分が飛び出さなければとその思いが払拭できないでいるんだ。だから姫野組組長としてではなく、姫野功希と姫野凌佳の娘としてカタをつけにいくんだと…俺は思う。」
ということは…!?
「莉依は一人で動くってことか!?」
俺は思わず声を荒げてしまう。
「落ち着け翔樹。」
大和は焦る俺に渇を入れ、冷静さを取り戻してくれた。
「莉依が無茶しないように、俺らが援護すればいいんだろ?親父。」
大和の言葉に、奏希さんは頷く。
だが、まだ奏希さんの余裕そうな表情から、不安が見え隠れする。
「お前らに、そして、清宮、川城にも、兄貴が…先代の組長が口外しなかったことを今からお前らに話す。」
親父達も知らないこと…?
シークレット組員以外にも、莉依の親父さんが内密にしていたことがまだあったってことか?
俺は、奏希さんの口から出た話に驚きを隠せなかった。
その場にいた全員も、驚愕するほどの内容だったー…。
翔樹side end

