言葉を無くしていると、俺達の前に姫野の先代の弟である奏希さんと大和が立っていた。
「二度も言わないぞ。解散と言われたのだ、持ち場に戻れ。」
流石、先代の弟だ。
ピリピリする程の殺気が全身を襲う。
何とか言葉を出す。
どうしても、莉依から離れることはしたくねぇんだ。
「奏希さん…。俺達を、莉依の側に居させてもらえないか?」
命に背くことは重々承知だ。
だけど、このまま指をくわえて待ってろっていうのは絶対に嫌なんだ。
親父達が俺の言葉に驚き言葉を失っていると、奏希さんは冷たい表情から一変、柔らかい表情になる。
その表情は、"仕方ねぇな、助け船出してやるよ。"
と言うような…。
「おい、翔樹よ。」
「…はい。」
俺は、体勢を整えて返事をする。
「莉依ちゃんを心から守りたいか?」
「!?」
真剣な目で俺に話し始める。
「どんなことがあっても、必ず守り通すか?」
「ーッ、勿論です!」
「俺達が予想している以上に闇が深いぞ?俺達が思ってる以上の事が起こるかも知れねぇ。それでも、守り抜くことを誓えるか?」
そんなの当たり前だ。
「はい!必ず守り抜きます。」
「なら、お前のやりたいように動くといい。莉依ちゃんがこれ以上の闇に堕ちないように…。」
「お…おい、親父ッ!」
大和は親父である奏希さんの言葉に焦る。
澤田のことには一切、手を出さないようにと莉依が言ってただろ!と制すように言う。
それを聞いて、奏希さんは口角を上げて大和と俺らを見て言葉を続ける。
「莉依ちゃんは、"澤田の"ことには一切、手を出さないこと…って言ってただろ?」
奏希さんの言葉に、俺を含めた全員の頭に?が飛び交う。
親父達ですら、ワケわからないと言う表情だ。

