「始めましょう。」
私の一言で、困惑しながらも、清宮組、川城組も座り直す。
「先に、組長代理として動いていた私から話をさせていただきます。」
奏希叔父様が、私の右斜め後ろに立って話を進める。
「今回、姫野の組長に襲名されました、姫野莉依様です。まだまだ未熟ではありますが、どうぞ御鞭撻の程よろしくお願いします。本日報告すべきことは全て、書面にて姫野に送るように。幹部や幹部候補達もこれから総会に出ると思いますが、私語は慎み、この総会に挑むよう願います。私からは以上です。」
少しざわつくがすぐ収まり、緊張感を持った空気になる。
「ここからが本題です。」
この場が緊張感に包まれているかるか、誰一人として言葉を発さずにいる。
そんな中、意を決して言葉を続ける。
「澤田組は、清宮、川城、神子芝に組員を配置し、いつでも奇襲が出来るようにしているとのことでした。」
一瞬ざわつくも、流石ブレない。
直ぐに切り替えて静かになる。
私は、声が震えそうなのを何とか堪えながら、組長たちへしっかりと話す。
「清宮組、川城組は…、澤田の件から手を引いてもらう。」
静かだった部屋が、大きなざわつきへと変わる。
「莉依ちゃ…!?いや、姫野の組長…。澤田は私たち組を合わせても足りないくらいの人数です。」
「…そうです。なのに、姫野組だけで動くのは…。」
樹さんも、川城のおじさまも、恐る恐る話しかけてくる。
2人は私のために言ってくれてるんだよね。
でも、ごめんなさい。
突き放させてもらいます。
「…姫野が負けるとでも?」
私の言葉に、二人はぐうの音も出なくなる。
「負けるなんて有り得ませんね。姫野を嘗めては困りますよ?」
周りの人達は、恐怖から固まり出す。
現に、2つの組の長すらも私の言葉に恐怖を感じているようだ。
私は立ち上がり、ここにいる全員に告げる。
「これは澤田と姫野の確執。他者は黙ってなさい。…いいこと?澤田のことには一切手を出さないこと。自身の組を澤田の組員から守ることを命じる。必ず遂行しなさい。以上。解散でいいわ。」
そう言い、足早に会場を後にする。
早くこの場を去りたかった。
目の前には愛しい人がいて、今にも飛び込んでいきそうになる気持ちを抑える。

