ドアを勢い良く開ける。

その部屋は、生前父が使っていた休息部屋。

「莉依…何なんだよ朝っぱらから…。」

大和が追いかけてきたようで、息を切らしながらドアに寄りかかる。

それでもお構いなしに、私は部屋の物を漁る。

「お…おい!親っさんの!」

机にはない…。
棚にもない…。
あと、見てないところは…。

私の目は、壁にかかっている額に向く。
生前、警察と協力していたこともあり、何とか賞ってやつをもらっていたようだ。

賞状が何十枚も飾ってあり、綺麗に額に入れられている。

その中の一つに違和感を感じる。

「真ん中の額、紙のとこ少し盛り上がってる…?」

台に立ち、手にとってフックを取り中身を出す。

USBメモリーだ。

「莉依、それ…まさか。」

「澤田が持ってこいって言っていたヤツだと思う。」

何であり所が解ったんだよという大和は、ちんぷんかんぷんで答えが出せてないようだ。

「光の箱は、英語でlightbox。他に、shineは光, 栄光, 栄華, 朗らか, 英名, 栄耀という意味の単語もあるの。父の部屋には、沢山の賞状がある。生前の栄光…。そして、箱と決めれば、人間は箱ばかり探す。父はそれを狙って、額縁に隠した。」

気持ちを落ち着かせて、大和に向き合う。

「これを取り急ぎ新達に。中身はきっと、人身売買のデータだから。」

そう言って、データを大和に渡して新のところへ急がせる。

私は大和が部屋から出たのを確認すると、同じ額に入っていた1枚の小さな紙を手にする。

USBメモリーを取り出す際に気がつくも、大和にバレないよう素早く隠したんだ。

中身を見てその内容に驚き、思わず手が震えてしまう。。

その紙には、父の達筆な字で簡潔に書かれていた。

『澤田が凌佳を手に入れられず、逆上して狙っている。』