「あー!もう無理ー!頭パンクする!」

机の上に頭をつけ、弱音を吐く。

頭に叩き込むのは、予想以上に体力を使う。
何なの?この報告書。

北園財閥やら経営している店の収支報告書。

姫野の新人名簿。
しかも、趣味まで記載…。

それ以外にも、他の財閥や企業のお偉いさん達の好物やら、レジャー等々…。

「何でこんなことも覚えなきゃなんないのー!?」

「そりゃ、親っさんがしてたことだしな。そういう繋がりを大事にしてたんだろ。それにプラスして、仕事をこなしてんだもんな。」

スゲーよ、お前の親っさん。
そう言いながら、大和も大量の資料に目を通す。

「ねぇ、あんたまで頭に叩き込むことないんじゃない?私が知ってればいいし…。」

「ん?分家として、何でもサポート出きるようにしてぇんだよ。莉依には、ドンと構えられるように。これでも?表の世界で言う専務に値する地位に居るんだ。上のために動くのは当たり前だろう?」

ドヤ顔で言われてもね。
笑いしか出てきませんよ?

大和なりに、姫野に対して色々と考えてくれてるのね。

優杏さんは、大和のこういうところに惹かれたのかもね。

「ねぇ、大和は優杏さんのどこに惚れたの?」

ニヤけながらそう言うと、いきなりムセはじめる。

ん?
唾液でムセてるのか?

汚いぞ…。

「おまっ…何言って!」

「いやー優杏さんびじんだからさ、もっとマシな男捕まえられるのに…、こんな大和に捕まるとはねぇ…。」

大和は私の言葉に反応するかのように、言い返す。

「はぁ?他の男になんか渡してたまるかっての。アイツは俺のもんだ。誰にも渡さねぇし。」

「…、独占欲強い男は嫌われるぞ?」

うっせ。
そう言って視線をそらした。

耳まで赤くなってる。
こんなに思われてる優杏さんは羨ましい。

「幸せそうね。」

微笑むと、大和は目を見開く。

…何故?

「お前…冷酷な表情したり、微笑んだり、切り替えがすげぇな。」

「どういうこと?」

無自覚か。
そう呟きながら、大和は困ったような表情をする。

「全てにおいて鈍感だな。頭は良いのに。」

「一言余計じゃないか?ん?大和くん?」

何か…、バカにされてる?

いつか絶対ノシてやる!