「おい、どうなってるんだ?」

翔樹に睨まれ、胸ぐらを捕まれる。

遡ること5分。
客間に着いてすぐ、俺は莉依はここには居ないことを伝えたら、この状況だ。

新達も戦闘モード。
向こうも戦闘モード。

…ヤべぇな。
ここでやり合う暇はねぇ。

「言っただろ?ここには居ないと。すこしは落ち着け。こっちでも探してるんだ。組員を動かしながらなのに、中々足取りがつかめねぇんだ。お前らもそうなんだろ?」

翔樹は舌打ちをして、俺の胸ぐらを乱暴に離した。

着衣を整えながら、冷静に話す。

「鴻巣がお前らを気絶させた後、川城も気絶させられ、俺らもやられた。目覚めたら莉依だけ居なくなってた。」

無理やりな感じの説明になったが納得してくれるか…?
翔樹の奴やけに勘がいいから、背中に汗が流れる。

「チッ…。何か分かったら、必ず連絡しろ。必ずだ!」

そう言って、姫野を出ていった。

晶や慶一郎、礼は申し訳ない感じを醸し出しながらも、内心はイラついてるんだろう。

その手には、血管が浮き出るほど力強く握られていたのだ。

見つかるわけがない。
莉依のGPSを切り、情報も厳重に扱い見られないようにしてるのは、何を隠そう新と優杏なのだから。

にしても…。

「清宮の態度ー!マジ腹立つー!」

頭を思いっきりかきながら、大声で叫ぶ。

「あー!アイツが莉依の大切な奴じゃなきゃ、即潰してるのに!!何なんだあの態度ー!」

一通り叫んだ後、息を整えながら立ち上がる。

俺の様子を見て新と芳樹と陽介は苦笑いする。

総会の日まで後3日…。
莉依がここにいることを翔樹が知ったら、俺は殴られっかな?

隠してたんだもんな。

だが、俺は莉依の右腕。
莉依に忠実でなければならない。

姫野のために、莉依の親っさんのために、そして莉依のために。

アイツがまた、光の下で笑えるように、俺は動いていく。

それが、俺の…分家としての使命だ。


大和side end