「やっと言ったな。」

そう笑う龍也は、妖艶に笑う。

「今、俺ん所とお前の奴等で姫ちゃんを探してる。晶も慶一郎も礼も、怪我の治療よりも優先して動いてる。」

ただ、足取りがつかめない。
GPSもダメだ。

龍也は俺の目をしっかりと見て言った。

「姫ちゃんあの時、シークレット組員っていってただろ?俺親父から小さい頃聞いたことがあって。姫ちゃんの親っさんの代は謎が多くて、上層部の幹部たちは、顔を出すことがなかったんだ。そのシークレット組員の一人が鴻巣泰我だったんじゃねぇかと俺は思う。」

"私は…、姫野に生涯を捧げるつもりで今まで澤田に潜入していました。功希さんの娘である莉依さんに、忠誠心を誓うのは当たり前です。"

あの時の莉依を見る目、膝まついた姿は主への誓いの姿だった。

「澤田の何かを掴むために、莉依の親っさんは鴻巣に澤田へ潜入するよう命じたってことか。」

「あぁ。だが確信はない。姫野の幹部の全貌は謎だらけ。」

鴻巣…、お前は一体…。

なぜ、莉依の親父さんはシークレット組員なんて作ったんだ?

親父たちも知らない、トップシークレット。

何のために…。

澤田に深く関するものなのか…。
悩んでもキリがねぇ。

「親父に聞いてみるしかねぇか。」

「まさかとは言わねぇが…、俺の親父にも聞けと?」

あぁ、と頷くと龍也は呆れる。

「さっきの話を聞いてたのか?当時の姫野組は謎多き組だったんだぞ?しかも、龍神会の会長としてもやり手だった人が秘密を漏らすはずがねぇ。」

「全部知ろうなんて思わねぇさ。」

龍也は意味がわからないという顔をしている。

「聞いたことを点と線で繋げれば、何かが見えてくるはずだ。」

この前の暗号の手紙のことも、何が書き記してあるのか分かってくるはずだ。

「しゃーねーな。言い出したら聞かねぇのが…、お前だもんな。特に姫ちゃんがらみだとよ。ポンコツ通り越して最強で最恐だもんな。」

そういう龍也はどこか楽しそうにしている。
なんだか貶されてるような気もするが…。

そんな事より、莉依を守れるように動いていかないと。

「で?姫ちゃんどうすんのさ。」

「必ず連れ戻す。」

俺は、莉依が言ってくれた事への返事をしてねぇ。

これ以上莉依を手放すなんてしない。
俺が守ってやるんだ。

俺の大切な姫を。




翔樹side end