「脅しではない。清宮、川城、神子芝のところにうちの組員を配置してるさ。いつでも攻められるようにな。」

満里奈と椿のところまで!?

「一週間やる。それまでに用意しないと…分かるよな?姫野のお嬢さん?」

そろそろおいとましないと、サツが来そうでね。後は頼んだよ。そう言って、澤田は消えていった。

私が離れれば、みんなは助かる。

「莉…依!」

翔ちゃんがやっと立ち上がった時。

フードの男が立ちふさがった。
そして、フードを取った。

その顔は月明かりで逆光になっていたが、ハッキリと分ける。

「鴻巣…泰我…。」

私の言葉を聞いて、翔ちゃんたちは目を見開く。

大和たちも情報で少し知ってはいたものの、澤田の組員という事で驚いている。

「て…めぇ…。莉依に…指…一本触…れてみろ…、ぶっ…殺す!」

「…。」

鴻巣さんは無言で翔ちゃんを見下ろす。

私は翔ちゃんのところに駆け寄る。

「翔ちゃん…。」

「お前…は気にす…ること無い。」

迷惑かけてしまい、怪我までもさせてしまった。

私のせいで…。

涙が止まらない。

その涙を、翔ちゃんは痛みをこらえながら拭ってくれる。

ごめん…ごめんね…。