私は無力すぎる。

こんな時も、私は守られてばっかだ。
澤田に怖じ気づいてしまっている。

情けない。

翔ちゃんたちは、パイプをうまく避けながら、相手に拳をいれていく。

相手の返り血を浴びながらも、私を囲む体勢は変えず守ってくれている。

唇を噛む力が強くなる。

私がもっと強ければ…。

私がトラウマに怯えているから…。

大切な人たちを傷つけてる…。

「!?翔ちゃん危ない!」

一人倒した後、その後ろから勢いよく鉄パイプを振りかざす男が出てきて、すぐ避けられず翔ちゃんはくらってしまった。

「ぐはっ…。」

「若!」

「アカン!」

「姫、動かずそこに!」

頭が真っ白になる。

翔ちゃん…。

「翔ちゃん!」

「…っ…。大丈夫だ。そこから動くなよ。守れるもんも守れねぇ。」

翔ちゃんはすごい気迫で相手を睨む。
それに怖じ気づいたのか、相手は何歩も下がる。

「ちっ…。使えねぇな。おい。」

澤田の目線の先を見ると、そこにはフードの男が立っていた。