食事を済ませて、会計をしていると、店長が翔ちゃんに声をかけていた。
会話は聞こえないが、翔ちゃんは頭を下げていた。
「翔ちゃん、何話してるんだろ?」
「ん?姫ちゃん気になるん?」
「い…いいいいや!何でもない!」
何話してたって勝手じゃない!
何私気にしてるのよ!
礼ちゃんはアタフタする私をみて、可愛いと連呼する。
は…恥ずかしい。
顔が赤くなるのを、手で押さえながら落ち着かせる。
「待たせたな。行こうか。」
「うん!紅葉を見に行こ!」
そう言って外に出たときに、何やら異変を感じた。
それは翔ちゃんたちも同じのようだ。
いつもと変わらない人通り。
ガヤガヤと楽しそうに歩く人、仕事の電話をしながら足早に歩く人。
だけど何かがおかしい。
「若、この気配…。」
晶さんの言葉に体が硬直する。
この気配は知っている。
幼い頃知った恐ろしい気配。
「あぁ。莉依、離れるなよ。」
周りを警戒しながら、広場に止めてある車へと向かう。
「若、後ろからつけられてるで。気ぃつけ。」
息をするのがやっと…。
だって、嫌な予感が当たってしまっているから。
すると、前に嫌な気配が。
「おやおや。騎士達に守られている姫さん。ここにいたのですね。」
空気が凍てついた。
沢山のスーツを着た男たちを従えながら、白髪で、着物を身につけた中年の男が立っていた。
「澤田…國光…。」
私の両親と、優杏さんの両親をも殺した憎き人。
手に汗握る状態。
嫌な予感の招待は…澤田國光だ。
「莉依、後ろにいろ。」
翔ちゃんは澤田を睨みながら、私を後ろに行くよう促す。
私の横には、慶ちゃんと晶さん。
後ろに礼ちゃんがいる。
「てめぇ。何の用だ。」
「清宮の若はよく吠えるのぉ。ワシはそこの姫野の娘に用がある。」
パチンと指を鳴らすと、スーツの男たちはあっという間に私たちを囲む。
「お前たち…いたぶるのはいいが、その娘は傷はつけるなよ?大事な客人だ。」
「私に…何の用よ。」
「しらばっくれちゃぁ、困るなぁ。君のお父さんが隠したデータ、知ってるだろ?渡してもらおうか。」
人身売買などのデータが入ってるもののことね。
「私は持ってもないし、ある場所も知らない。」
分からないものは分からない。
すると、納得いかないのか、表情を歪ました澤田國光。
「…ほう。なら強行手段だな。」
スーツの男たちは、どこに持っていたのか分からない鉄パイプを振り回して私達に襲いかかる。
「莉依!絶対動くなよ!」
私を囲うようにして、4人は相手を倒していく。
それを、気持ち悪い目で見ている澤田國光。

