入った部屋はVIPルーム。
個室になっていて、周りを気にすることなく食事が出きる。
沢山の料理が並び、一つ一つ楽しみながら食べる。
「これ美味しい!」
石窯焼きラザニア!
香ばしいチーズの香りがたまらない!
イカスミのパスタも、癖がなく、食べやすい!
パクパクいけちゃう!
やだー!
デザートのクリームブリュレ!
美味しい!
食べていると、店長さんがデザートを一つ持って入ってきた。
「こちらは生前、姫野功希さんが好んで食べていらしたティラミスでございます。」
震える声に顔をあげると、店長さんは涙をこらえながら話を続けた。
「娘さんが生きてると聞いたとき、ぜひこちらを食べていただきたいと…そう思いながら過ごしてまいりました。」
そう思ってくれていただけでも、私も心が少し救われるわ。
父は、本当に慕われていたんだな。
「私を含めた当時の白龍メンバーは、いつまでも貴女方の見方です。そして、困ったときは、頼ってください。全力で守らせていただきます。」
"功希と凌佳ちゃんが命がけで守ったあなたをー。"
思わぬ味方に心が暖かくなる。
急に取り乱してすみません。
どうぞお召し上がりください。
そう言って彼はフワリと笑い、部屋を後にした。
あぁ。
お父さん、お母さんは、すごくいい人たちと過ごしていたのね。
でも、表の世界で全うに仕事している人が、裏の世界に足を踏み入れて暴れるなんて…大丈夫?
と思ったが、口にはしなかった。
父と母を慕ってくれているのがすごく伝わったから。
この人たちも守らなければと、強く思った。

