「お腹減ったから、ご飯にしよう!」
「意外と歩きましたからね。そこのイタリアン予約させていただきましたので参りましょう。」
晶さん…予約までしなくても…。
定食屋でも良いんじゃないのかな。
私がポカーン口を開けていると、
「くくくっ…、アホ面だな。」
「し…翔ちゃん!?」
乙女に対してアホ面って!
ひどくない?
「悪い悪い。行くか。」
笑いをこらえなから、イタリアンを食べに向かう。
翔ちゃん酷すぎだから!
まだ笑ってるし!
うんと高いやつ頼んでやる!
全部翔ちゃんのお会計にしてやる!
ドレスコードはないが、静かで心落ち着く場所。
「いらっしゃいませ、清宮さま。」
店長がわざわざ表まで来てくれた。
店長は顔をあげたかと思うと、私の顔を見て固まる。
え…なんだ?
私、何か変かな?
「失礼ですがそちらのお嬢さんはもしや、莉依さまですか?」
「は…はい。姫野莉依です。」
何故私のことを知ってる?
「驚かれるのも無理はありません。私、姫野功希さんが白龍を立ち上げたときの幹部でして…烏丸信吾と申します。この店をオープンするときも大変お世話になりました。」
白龍創設時の幹部!?
まさかの元幹部ということに驚きを隠せない。
大和が聞いたら、発狂ものだね。
勝手に親近感を覚えた私は、身構ていた心を落ち着かせる。
"お父さんの仲間"。
こんな身近に会えるなんて思わなかった。
世間は狭いなぁ。
「清宮様にもよく利用していただきまして、本当にありがとうございます。」
そう言って、私たちを中に案内してくれた。

